そもそも、なぜ中国共産党は香港に手をだしたか?

そもそも、なぜ中国共産党は香港に手をだしたか? : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/23037924.html

 ※ いつもながら、鋭い分析をなされておられる…。
  実態は、十分に「支配下」においたはず(実体)なのに、なぜ今、このタイミングで「形式」をも、変えようと乗り出したのか…、という視点だ…。
 それには、このタイミングで行動しなければならなかった「理由」があるはずだ…、と論を進めておられる…。

 その鋭い論考に敬意を示しつつ、全文を引用させていただきます…。

『香港はイギリスとの阿片戦争の結果として、講和条約で清王朝から99年間のイギリスへの租借が決まった地域です。そして、条約の通り1997年に、その時の主権国家である中華人民共和国へ返還されました。当時、当然ながら市民や資産の海外流出が起きたのですが、まだまだ発展途上だった中国は、それを留める目的もあり、一国二制度を世界に対して約束しました。期間は50年間。今年の7月1日は、23年目にあたります。つまり、約束の半分も時間が経過していません。

結果として、これは海外にとっても中国にとっても、緩衝地帯として有利に働きました。世界が中国に対して制裁的処置をしても、香港だけは制度が違う特別行政区なので、対象になりませんでした。その為、実際には、ここを経由して、制限されている軍事転用可能な物資も輸入できていましたし、建前上禁輸になっている物品も輸出できていました。また、中国共産党が直接介入できない為、投資先としてルールの点で信用ができると考えられていて、海外の投資家も香港を経由させて投資ができました。

ただし、実際には長い時間をかけた切り崩しで、香港の行政長官には中国共産党に忠誠を誓った人間しか着任できませんし、議会の過半数が必ず中国共産党寄りの人間で固められるように、既に選挙の立候補枠で制限がかけられています。実質的に、民主派が勝って、行政権を握る事が無い仕組みになっています。司法も中国とは別になっているので、今までは勝手に中国本土の警官が、香港にいる人間を逮捕する事はできませんでした。しかし、実際には、香港でホテル住まいをしていた中国人や、香港で民主活動をしていた出版社の社長などが、拉致されていて、あきらかな主権侵害ですが、結局はウヤムヤに処理されています。つまり、実質的に統治下に置いていたという事です。

つまり、何が言いたいかと言うと、あと27年ほど我慢していれば、世界に非難される事も無く、自動的に香港は中国共産党の手に落ちる運命だったという事です。民主派の抵抗はあるでしょうが、世界に対して結んだ約束は、守っているので、恐らく強くは非難されません。また、香港が機能している事は、中国にとっても都合が良いのです。特にアメリカと揉めている時には。一国二制度を盾にして、制裁対象になっている品目でも、香港経由で輸入できますし、輸出もできます。よりによって米中貿易紛争が起きているタイミングで、事を荒立てる必要は、どう考えてもありません。

つまり、何かしら、表に出ている理由とは別に、香港で国家安全維持法を成立させなくてはならない理由が発生したと考えるのが自然です。ただ、単に50年が待てなかったという事は、中国に限ってはありません。そもそも、そういう単位で戦略を立てる国家なので、50年程度が待てないはずがないのです。

その理由は、政治的な理由と経済的な理由と2通りが考えられます。

一つには、反習近平派。はっきり言えば、江沢民派が、米国と揉めているタイミングで、わざと香港で騒動を起こしたと見る考え方です。民主主義にかかわる問題になると、アメリカは反応せざるを得ません。そういう錦の御旗を掲げているからです。香港にかかわる騒動の発端は、逃亡犯条例という、今から考えれば、限定された香港の主権の侵害でした。もしかしたら、観測アドバルーンとして、始めたのかも知れませんが、それがあっという間に武力制圧に発展する事になります。ここまでの展開を予想していたかどうかは不明です。

香港・マカオを担当する責任者は、共産党のエリート・コースの一つで、かつては登り詰める過程で、習近平氏も担当していた時期があります。基礎を築いたのは、江沢民派の曽慶紅元国家副主席、張徳江氏、韓正氏という系列です。習近平氏が牙を剝いて、江沢民派の幹部を粛清し始めてからは、習近平氏にとって、暗殺を警戒する程の危険な地域になっています。その為、習近平氏を失脚させる目的で、内乱状態を作ったとしても、まったく不思議では無い情勢です。敢えて習近平氏サイドから政治的な理由を探すと、色々と内政がヤバイ状態で、共産党幹部の資産の流出窓口になっている香港の蛇口を締める目的があったかも知れません。共産党幹部による資産の海外持ち出しというのは、かなりシャレにならないレベルになっていて、看過できないのも事実です。

もう一つの理由が、外貨準備資金の枯渇から、香港の4000億ドルの外貨準備資金の強奪を狙ったと見る向きです。中国は公式発表では、2兆ドル超えの米国ドルを所有している事になっていて、世界一の外貨準備高を誇っています。ただし、中国の発表です。そのまま信じるのは、日本のメディアくらいです。中国は今までに、20兆ドルを貿易で稼いだと推察されています。それが、そのまま利益ではないですから、製品を作る為の原材料費として、10兆ドルがかかっていて、粗利が10兆ドルと言われています。すごい金額ですが、その大部分が共産党の上級幹部に流れていて、動員できる外貨準備高は、2000億ドルとも言われています。つまり、十分な外貨準備高を確保していないのです。

さて、借金で困窮した人が行う行動の一つが、強盗とか詐欺です。個人が国になっても、やはりそうなります。戦争の原因の一つである経済は、だいたい内政が崩壊して、金欠になったあげく、周囲の国の資産を強奪するのが目的である事が大部分です。好き勝手に強奪し放題なので、濡れ手に泡で財政が潤うわけです。戦争の原因なんて、結局はこんなもんです。立派な理由は、後で周りから非難されないように、他に準備するわけです。

金欠が原因と見ると、50年待っていられない理由も、実にスッキリと理解できます。また、金が原因と考えると、内政の混乱から香港を通じて共産党幹部が海外へ流出させている資産の流れを、止める意味合いも強いのかも知れません。同時に、幹部の海外逃亡の抑制ですね。ちょっと前まで、愛人にカナダ国籍を取得させて、カナダで購入した土地と屋敷の管理をさせておき、いざとなったら、いつでも逃亡できる準備をしておくのが流行りでした。今は、中国で担当していた職務によっては、制裁対象として資産没収される可能性があるので、さほど盛んではないようです。

香港を通じて、海外勢力が民主化運動へ加担しており、それをニガニガしく思っていたのは事実ですが、行政を実質的に支配していたので、何も、このタイミングで事を荒立てる必要というのは、感じません。時間的に待てない理由があったと考えられます。』

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