ひとつ上の視点からモノ考える 大切なビジネス思考法 第1回 メタ思考

『ところが、同じやり方で考えても、さほど違った答えはでてきません。同じ考え方の人が集まって議論をしても、目新しい結論は期待薄です。それどころか、何度やっても同じ結論になり、「ほらやっぱりこれでいいんだ」と、余計に慣れ親しんだ考えから離れられなくなります。

つまり、「よく考えろ」と言われたら、まずは考え方そのものを点検し、それとは違う考え方をしなければいけません。思考法を切り替えないと、よく考えたことにならないのです。』
『そこで質問です。皆さんは、どれくらい考え方のバリエーションをお持ちでしょうか。たとえば「思考法」と呼ばれる考え方のメソッドをどれくらい使いこなせますか。その数が少ないから、いつもワンパターンの答えしか出せないのではありませんか。』
『知識や情報をいくら集めても、それ自体が答えを出してくれるわけではありません。KKD(勘・経験・度胸)に頼っていたのでは、新たな問題に対処できなくなります。今私たちに求められているのは、思考法を巧みに駆使すること。それがあって初めて、適切な答えが見いだせます。』
『一つ簡単な例を挙げましょう。先ほど、「よく考えるとは何をすることなのか?」という問いを立てました。このような考え方を「メタ思考」と呼びます。

メタ思考とは、物事を一つ(以上)の上の立場から俯瞰(ふかん)して考える思考法です。このケースで言えば、上司から「よく考えろ」と指示をされたときに、

・「何をすればよく考えたことになるのか?」(定義、状態など)
・「何のためによく考えないといけないのか?」(意味、目的など)
・「よく考えることで何が生まれるのか?」(効用、便益など)
を考えるようにします。分かりやすく言えば、“そもそも論”です。物事を考える前に、「何を考えるのかを考える」ことで、テーマ自体を問い直すのです。あたかも、2人の会話を天井から第三者の視点で眺めて見ているようにして。』
『メタ思考を駆使すれば、物事の本質や気がつかなかった食い違いが発見できます。これこそがメタ思考の一番の効果です。』
『〔俯瞰的に考えれば本当の解決策が見つかる〕
メタ思考が役に立つもう一つの場面があります。意見が対立しているときです。皆さんに簡単なクイズを出しますので、先を読む前に一度考えてみてください。

孫娘がかわいくて仕方がないお婆ちゃんは、ねだられるままにオモチャを買ってあげます。そうやって甘やかすせいで、娘は母親の言うことをちっとも聞きません。「やめてちょうだい!」と何度も言うのに、お婆ちゃんは知らん顔。どうすれば、両者の対立が解消できるでしょうか。

すぐに思いつくのは、購入量(金額や回数)を減らしたり、購入するものを限定したりして、両者痛み分けにする案です。悪くはありませんが、満たしきれなかった欲求が火種となって、問題が再燃する恐れがあります。

こんなときこそ、メタ思考で考えてみましょう。両者の言い分を俯瞰的に見た上で、共通する関心事を見つけ出すのです。』
『たとえば、「何のためにお婆ちゃんはオモチャを買うのか?」「お母さんは何を嫌がっているのか?」を考えてみます。多分、お婆ちゃんは孫娘をかわいがりたいだけです。甘やかさない方法でできればお母さんから文句が出ません。遊園地に連れていったり、大好きな料理をつくってあげたり。

さらに、もう一段レベルを上げてみましょう。「なぜ、お婆ちゃんはそんなに孫娘をかわいがりたいのか?」を考えてみるのです。

ひょっとすると、お婆ちゃんは寂しさを紛らわせたくて、何か生きがいを求めているのかもしれません。だったら、新しい趣味を持つ、ペットを買う、友人との交流を増やすなどの手が考えられます。これならお母さんも大歓迎。お婆ちゃんの問題解決にお母さんが協力することもできます。

こんなふうに、メタ思考で使うことで、両者の対立を超えた本当の解決策が見えてきます。両者の言い分を俯瞰的に眺めるメタ思考ならではの技です。』
『〔考え方の変革は生き方の変革につながる〕
こんな風に、本連載では問題解決に役立つ思考法を、哲学、心理学、教育学、経営学など幅広いジャンルから集め、応用事例とともに分かりやすく紹介していきます。

心に響いたものがあれば、とにかく一度使ってみてください。思考法を知っているだけでは意味がなく、使ってみないと自分のものになりません。そうやって、考え方の引き出しを少しずつ増やしていくのが上達の近道です。

私たちは、日々あふれかえるほどの問題に直面しています。しかも、問題が複雑化・高度化する一方で、一筋縄では対処ができない問題が山積しています。

残念ながら、すべての問題がスッキリと解決できる魔法の方法はありません。いろんなやり方を駆使して、トライ&エラーで進めていくしか手がありません。そのためには、思考法のバリエーションを増やし、試行錯誤の回数を増やすしかないのです。

「人間は考える葦(あし)」(パスカル)であり、考えることは生きることです。多彩な思考法を習得することで、働き方や人との関わり方、ひいては生き方やあり方を見直すキッカケとなれば幸いです。』

 ※ オレがいつも言っている、「世界は、層構造になっている。」にも通じるような話しだ…。
 目先の「現象」にのみ囚われるのでは無く、常に「それが拠って来たるところ」(その現象の、発生原因となっていること)を抽出するように考え続けること…、そういう「頭の働かせ方」が大切なんだ…。
 そして、「その抽出したもの」が、他の「現象」へ適用できるのか…、どの程度の「応用範囲」があるのか、常に「現象」に適用してみて「確かめる」こと…。そうやって、「抽出したもの」の精度を磨いて行くんだ…。