幸せの伝染、不幸の伝染

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『コロナウイルスの拡散はすさまじい。
世界中を短期間に全く違う社会にしてしまった。

よく知られていることであるが、今回のウイルスは、感染しても発症しないことが多く、発症する時も潜伏期間が長い。このために知らないうちに急速に拡大していくという特徴がある。』
『ここで、最近、一つの対応関係に気づいた。

我々は過去10年を超えて、幸せや不幸に関するデータを収集してきたのだが、それによれば、不幸は今回のコロナウイルスに似ているのである。』
『まず、不幸をもたらす行動は、人との関わりの中で相手に感染するのである。ここでいう、不幸をもたらす行動とは、相手のストレスを上げ、抑うつ傾向を高めるような行動である。

既にデータから、そのような具体行動が見つかっている。例えば、会話の場で、発言権を一人で独占したり、反対に全く無言で発言しないことである。さらに、必要な時に、5分程度の短い質問や確認を行う事を相手に許さない一方で、週次の定例会議は長時間続けることである。このような行動にさらされると、人はストレスを高め、抑うつ傾向が高まる恐れがある。

このような行動は、関わり合う人の行動にもある確率で影響を与える。そしてこれを通じて、さらに他に人に伝染する。このようにして、不幸をもたらす行動因子は、(確率的に)伝染し、拡散していくのである。すなわち組織に蔓延し、風土になる。これは、コロナウイルスの感染拡大に似ているのである。』
『しかし、コロナウイルスと不幸には大きな違いがある。

それは、不幸だけでなく、幸せや幸せをもたらす行動も、人から人へ伝染し、拡散することである。』
『ここで、幸せをもたらす行動とは、例えば、会話の場で、参加者の発言権が偏らないよう配慮したり、相手が疑問や確認したいことがある時には、短い質問や確認を遠慮無くいつでも行う事を相手に許すことである。』
『従って、この世界は、不幸をもたらす行動と幸せをもたらす行動とが混在し、混じり合い、拡散することで成り立っているのである。この相克によって、幸せは決まっているのである。あたかも、善玉のウイルスと悪玉のウイルスがいて、両者が伝染し拡散しあっている世界である。

我々は、このコロナウイルスとの闘いに勝たねばならない。
しかし、闘いはそこでは終わらない。

ある意味でもっと大事なのは、幸せをもたらす行動が、不幸をもたらす行動との闘いにおいて勝利をおさめることである。』