リモートワークは優しい? 「効率的」の先の落とし穴

リモートワークは優しい? 「効率的」の先の落とし穴
20代から考える出世戦略(87)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO60782310V20C20A6000000?channel=DF180320167068&n_cid=TPRN0016

『メディアなどではリモートワークを促進している企業が大きく取り上げられがちです。実際に大きな影響が出ているので当然なのですが、リモートワークを常態化できる企業とそうでない企業、職種による影響度の違いがあることに注意しなくてはいけません。

たとえば弊社では、建設業、社会インフラ関連、流通業、製造業、IT関連業、小売業、飲食業など多彩なクライアントの人事制度を構築し運用をお手伝いしていますが、コロナに伴う対応は大きく二分されていることを実感しています。』
『まず、いずれの会社も緊急事態宣言時には在宅勤務を可能な限り徹底していました。けれども建設業や社会インフラ関連では現場をストップすることはできません。また多くが屋外ということもあり、3密になりにくい状況があったことも影響しました。だからリモートワークが影響したのは基本的には本社部門だけでした。』
『一部の流通業は逆に忙しくなりました。特にラストワンマイルと呼ばれる、通販商品の配送業者はいずれも人手不足な状況になったくらいです。

製造業では、中国など海外からの部品納入が途絶えたことからラインを止める企業が多かったのですが、交代制でなんとか50%程度の操業を維持する例を多数見ました。

IT関連はリモート化が進んだ業界です。もともとテクノロジーに強い人たちが集まっているので、リモートに対応する様々な取り組みが進みました。

一方で小売業や飲食業は、店舗を開けられなければどうしようもありません。開店時間の短縮や営業自粛などはありましたが、リモートワークとはほとんど関係しなかったといえるでしょう。

このように、リモートワークのような働き方改革は、業界や職種を俯瞰(ふかん)的に見たときに、普遍的な変革とまでは言えない様子がわかります。

実際問題、メディアがリモートワークを取り上げるたびに、そのことを苦々しく見つめていた業界や職種の人はとても多いのです。』
『リモートワークを働き方改革として見てみると、「プライベートが充実するようになった」「業務に集中できた」「生産性が高まった」と肯定的な見解や、「空気感が共有できなくて働きにくい」「ストレスが増える」「パソコン作業ばかりで疲れる」といった否定的な見解の両方を目にすることができます。

けれどもそれらはどちらも、働く側の視点に基づくものです。その根底には「効率性」「生産性」などのキーワードが見えています。

しかし多くの企業は、コロナショックの状況を効率性や生産性などの視点だけで見てはいません。』
『たとえば一部の企業ではこの状況をもチャンスととらえ、自社のビジネスにとって最適な変革を進めようとしています。業績が悪化しつつある他社を買収するため、M&A(合併・買収)情報の収集が多くの企業で進んでいます。

また、政策金融公庫やメガバンクからの好条件での融資は、必ずしも業績が悪化している企業だけが借り入れているわけではありません。これからの打ち手を考える企業の余剰資金としても借り入れられています。』
『劇的な変化が起きている現状で、私たちが「働き方」の変化を考えるのは当然です。けれどももし働き方ではなく、生き方そのものを変えてゆく機会にしたいのであれば、変化を成果に変えることを考えてみてはいかがでしょう。

それは少しずつ広がり始めている、ジョブ型人事に対応するためのきっかけにもなるはずです。』

 ※ 重要なことを、2つ言っていると思われる。
 1、「テレワーク」や「リモート」は、それが可能な or 実現しやすい「業界」や、ひいては企業内部での「職種」があるということ…。
 そのことは、「対立」や「利害対立」の芽を胎んで(はらんで)いるものであること…。
 2、コロナ禍は、目先の「対応」を迫るものであったが、現に存在していた「問題点」を露わにするものでもあったこと…。
 そして、さらには「先行き」の戦略をどう描くのか、その先陣争いの契機になったものでもあること…。
 いずれ、目先の「危機対応」に右往左往するだけでなく、その「危機」があぶり出したものの中から、その先に「見えているもの」をつかんで、いち早く「戦略」を打ち立てた者だけが、次の時代を生き残っていける…。
 そういう「構造」は、いつの時代でも同じことだ…。