2020年6月29日世界情勢(その3)

ブラジル、アマゾン伐採加速 貿易協定に影響も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60851670W0A620C2FF8000/
『アマゾン熱帯雨林がある北部は感染爆発のさなかで、ロックダウン(都市封鎖)も実施されている。地元の環境非政府組織(NGO)IPAMが「善良な市民や警察がウイルス対策に追われている間、土地泥棒が活動している」と主張する。

ボルソナロ政権は貧しいアマゾン地域の経済開発を推進する。2019年1月の政権発足以来、農地や牧草地の開拓のための放火や森林伐採が増加。フランスのマクロン大統領らが批判したが、大統領令で違法伐採の罰金徴収すら停止されている。

ボルソナロ政権は違法伐採に対する軍の派兵を進めるなど、表向きは森林伐採への対策をとるとしていた。だが5月にはサレス環境相が「メディアが新型コロナのことだけ報じている今が(森林開発を促進する法改正の)チャンスだ」と述べた閣議の動画が公開され物議を醸した。』

「ドイツのジョブズ」裏の顔 ワイヤーカード前CEO
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60891550X20C20A6EA2000/
『その一方で、危うさも見え隠れしていた。IT(情報技術)バブル直後の02年にCEOに就くと、同業者が敬遠していたポルノやギャンブルのオンライン決済を手掛けて急成長を実現した。』
『同業他社にない強みとして戦略的に重視したのが国際ネットワーク作りだ。ビザやマスターカード、JCBや銀聯など国際カードブランドが世界中に張り巡らせたカード決済システムと顧客をつなぐ。

アリババグループの「支付宝(アリペイ)」など各国のモバイル決済も網羅し、世界で200を超える決済サービスに対応している点を強みとしていた。

その支えとなったのが、デジタル技術とM&A(合併・買収)だ。電子決済サービス「アップルペイ」や「グーグルペイ」などのシステムも手がけてきた。

直近ではクレジットカードをスマートフォンのウオレットに追加してかざすだけで決済できる非接触のモバイル決済サービス「ブーン」の展開に力を入れていた。』
『グローバルな決済ネットワークを確立すべく海外M&Aに活路を求めた。15年以降にインド、ブラジルなどの決済関連会社を相次いで買収。17年には米シティグループからプリペイドカード事業を買収して米国に拠点を築いた。19年11月には北京に拠点を置く決済サービス会社の買収を発表した。

M&Aで支払った金額のうち、相手企業の自己資本を上回る部分にあたる「のれん」は19年9月末に7億2500万ユーロ。同社の自己資本の3割を超える水準に膨らんだ。』
『だがフィリピンの大手2行の19億ユーロが行方不明となり、M&Aで急拡大してきたはずの海外事業で不正が発覚。ドイツ国外で契約していたパートナーとの取引を偽って売上高を架空または過大に計上していた可能性がある。

学者のような表の顔の一方、チャンスがあればリスクを承知で飛び込むという顔も持っていた。社会的批判を恐れずにギャンブルやポルノのオンライン決済を手掛けた手法は、今回の会計不正を招いた東南アジアや中東での積極的な事業拡大にも通じる。現地業者との連携で労せず巨利を得るというビジネスモデルは市場や当局者の喝采を浴びたが、最終的に自身の首を絞めた。

ブラウン氏がどこまで不正に関与し、いつ事実を知ったのかは闇の中だ。従業員らに最後に残した言葉は「すべての取引の責任はCEOにある」だった。

(ベルリン=石川潤、フィンテックエディター 関口慶太)』

仏地方選、パリなどで与党敗北 マクロン政権に逆風
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60908860Z20C20A6EAF000/
『【パリ=白石透冴】フランスで統一地方選の投開票が28日あり、マクロン大統領の率いる与党、共和国前進がパリなど主要都市で敗れた。政権の求心力の低下は避けられない。環境政党の欧州エコロジー・緑の党(EELV)が躍進し、極右国民連合が中規模の都市で初めて勝った。新型コロナウイルスへの懸念で投票率は過去最低となったもようだ。』
『選挙は市町村選挙に当たり、原則比例代表制で首長と地方議員を選んだ。地方の話題への関心も高いが、マクロン氏の新型コロナ対策や改革に審判が下る意味合いがあった。

各党が最重要と考えたパリは中道左派、社会党の現職イダルゴ氏が勝った。与党のビュザン前保健相は終始劣勢で、3位になったとみられる。与党は南仏マルセイユ、中部リヨンなど人口が多い他の主要都市でも相次いで敗れた。

結果が直接国政に影響するわけではないが、野党はマクロン政権への批判を強めるとみられる。新型コロナ対策などで求心力が求められるなか、選挙結果は政権運営に逆風となりそうだ。』
『EELVはリヨン、東部ストラスブールなど主要都市で勝利したもようだ。泡沫(ほうまつ)扱いされることもあった政党だが、有権者の環境意識の高まりを印象づけた。同党はおおむね親欧州連合(EU)の立場を取るが、米国依存から脱却するためとして北大西洋条約機構(NATO)からの離脱を主張する。

南仏ペルピニャンでは極右国民連合のアリオ氏が中道右派共和党の現職を破って勝利した。仏メディアによると、国民連合が10万人以上の都市で勝つのは初めてだ。

投票率は前回62%から大きく落ちて、41%程度になったもようだ。新型コロナ感染を懸念する高齢者の棄権が多かった可能性がある。

統一地方選は1回目投票が3月に行われ、コロナ禍による延期を挟んで今回が決選投票だった。約5千の自治体が対象となった。』

サウジ銀行再編へ 大手2行が合併協議
皇太子の「脱石油」改革を支援
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60876350W0A620C2NNE000/
『【ドバイ=岐部秀光】サウジアラビアの銀行最大手ナショナル・コマーシャル・バンク(NCB)は25日、国内の4位のSAMBAフィナンシャルグループとの合併に向けた話し合いを始めたと発表した。新型コロナ危機と原油安の二重苦に直面するサウジの実力者ムハンマド皇太子が進める改革を支援するねらいだ。』
『両行の資産はあわせて2140億ドル(約23兆円)。リテールを得意とするNCBと、法人向けや市場部門に強いSAMBAの組み合わせにより、収益の改善を見込む。

サウジの銀行再編にはムハンマド皇太子の意向が働いているとみられる。政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)はNCBの44%、SAMBAの23%の株式をにぎる。政府年金ファンドも両行の株主に名を連ねる。』
『石油にたよらない経済をめざす皇太子の改革は停滞色が強まっている。2018年の政府批判の著名記者殺害事件などで投資家や外国企業がサウジ離れを起こした。たのみの原油価格はコロナ危機で低迷が続く。

サウジで娯楽や観光産業など非石油部門を育てて産業を多角化するには銀行の支援が欠かせない。皇太子肝煎りで進められる紅海沿岸の未来都市「NEOM」建設事業などは深刻な資金不足に直面しているとみられている。

NCBは2019年、国内の大手リヤドバンクと合併交渉を進めたが話し合いが決裂した。SAMBAとの合併が実現すれば湾岸アラブではカタールのカタール・ナショナル・バンク、アラブ首長国連邦(UAE)のファースト・アブダビ・バンクに次ぐ資産第3位の銀行になる。』

[FT]パキスタン、「一帯一路」で債務繰り延べ交渉
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60914960Z20C20A6000000/
『パキスタン政府は、中国企業が発電所の建設費を数十億ドル(数千億円)水増ししたと主張し、中国の広域経済圏構想「一帯一路」の債務返済を再交渉しようとしている。』
『パキスタン政府は、中国と国内電力会社の「不正行為」と費用の過大計上を指摘する首相直属の委員会による報告書を公表し、その後に再交渉の協議が始まった。新型コロナウイルスの影響で財政が圧迫され、交渉が急がれる状況になっている。

報告書は、華能山東如意電力会社とカシム港電力会社の期間30年の石炭火力発電所プロジェクトに関して、建設費と利払い費の水増しで約30億ドルを過大請求していたとしている。2つの発電所の建設費だけでも、利払いの「虚偽計上」により320億ルピー(約205億円)以上水増しされていたという。』
『パキスタン政府は中国政府の圧力を受けて不正疑惑の調査を見合わせていたが、裏ルートでの交渉を通じてより有利な条件を勝ち取ろうとしている。交渉について知る関係者らによると、パキスタン政府は現在、電気使用料の再交渉ではなく最大10年の債務返済の繰り延べを求めている。

パキスタンの閣僚の一人は匿名を条件に「経済状況を踏まえ、我々は最大限の猶予を求めようとしている。そのために我々はまず全ての独立系電力事業者と非公式に交渉し、このプロセスを正式なものにする前に、どこまで進めるか見極めたい」とフィナンシャル・タイムズ(FT)紙に語った。』
『2018年に就任したカーン首相は前政権から債務危機を引き継いだ。パキスタン政府は数カ月の遅れを経てようやく、国際通貨基金(IMF)に3年間で60億ドルの金融支援を要請した。経済の再生に取り組むパキスタン政府が新型コロナの感染が広がる中でもロックダウン(都市封鎖)による制限の緩和に動くという状況下で、IMFは改革プログラムの実行を猶予している。』
『元米外交官のアリス・ウェルズ氏は、620億ドル規模のインフラ整備事業「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」をしばしば批判している。透明性の欠如と「中国の半官半民の組織に保証されている不当な利益率」が理由だ。

同氏は5月に行った状況説明で、「この略奪的で持続不可能、不公正な貸し付けがパキスタンにもたらす負担の軽減措置を取る」よう中国に求めている。』
『パキスタンでは政府が実質的に利益を保証するエネルギー政策を取っているため、電力部門は恒常的に腐敗疑惑がもちあがると、同国政府の産業政策顧問を務めた英ケンブリッジ大学のカマル・ムニル教授は指摘する。

「私たちは超過利潤の事業を確立した。電力部門に競争は存在せず、収益が保証されている。CPECのプロジェクトも同じだ」と同教授は話す。「パキスタンは経済を空洞化させるこの種の取引に何度も自国を閉じ込めてしまっている」』
『元駐米パキスタン大使で現在は米ハドソン研究所上級研究員のフサイン・ハッカニ氏は、報告書は一帯一路の一部プロジェクトに絡む問題を浮き彫りにしていると指摘する。

CPECの2つの発電所プロジェクトは法外な利益を生み出したと同氏は語り、建設費の高さと利息天引きに絡む問題点を批判する。「これは中国の信用を傷つけ、一帯一路による貧しい国々の搾取がさらに表面化している」

債務の繰り延べを求める交渉は、100億ドルを超える公的・民間債務の利払い猶予についてカーン政権が進めている中国との協議とは別立てだ。中国政府は今月、新型コロナの影響に苦しむ77の途上国の債務返済を猶予すると発表したが、それ以上の詳細は示していない。

By Stephanie Findlay, Farhan Bokhari and Sun Yu

(2020年6月26日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)』

タイは新しいケースがないにもかかわらずCOVID緊急事態を拡大しようとしています
「医療クーデター」の恐れは布告がPrayuthの広範な力を与えると同時に広がる
https://asia.nikkei.com/Politics/Turbulent-Thailand/Thailand-seeks-to-extend-COVID-emergency-despite-no-new-cases?n_cid=DSBNNAR
『タイの人権弁護士であるSor Rattanamanee Polklaによれば、警察と治安部隊は「緊急命令の使用を拡大し、それを政治的なものにした」。

逮捕されたのは、仕事の途中で夜間外出禁止令を破ったゴム製のタッパーや漁師、そして村の近くで環境に悪影響を与える商業プロジェクトに抗議するコミュニティグループでした。「COVIDによって経済的に影響を受けた人々を助けるために無料の食料と現金を配布した人々でさえ、警察から許可を得なかったとしてこの命令の下で起訴された。」

タイの情報筋は、夜間外出禁止令はCOVID-19の拡散を抑制することとはほとんど関係がなく、制限のために生活を失った人々による抗議を阻止するよう強制されたと述べた。「失業した人々がバンコクに来て、財務省の外のような公共の場でデモを行うことを阻止することは先制的な努力だった」と彼は言った。「これは典型的な軍事的思考です。」

警察はまた、現在の軍事協力連合政府に対して小規模な抗議を行った政治活動家と学生指導者を標的としたこと、および5月中旬にプロに対する2010年の血の取り締まりの10周年を記念するイベントを含む政治的に起訴されたメモリアルイベントを標的にしたとして非難-民主主義の街頭運動、その結果、軍の手に渡ってほとんどの民間人が90人以上死亡した。警察は、抗議者たちを沈黙させるための社会的隔離措置に違反したとして抗議者を起訴した。

国際的な権利団体は、言論の自由を鎮めるための緊急命令の使用を批判しています。「タイ当局は、緊急命令とコンピューター関連犯罪法の「偽造防止ニュース」条項の両方を使用して、パンデミックへの対応についてメディア、医療従事者、および一般大衆からの批判を遮断した」とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。政府が5月に2回目の布告を行った後。

このパターンは、2014年のクーデター後にタイが政情に戻ることを布告が課された直後に浮上した恐怖を確認するように思われた。Prayuthは、概して、戒厳令とその後の暫定憲法のセクション44を使用して選出された政府を解任した後、5年間国を運営し、2019年3月の総選挙まで、その広範な権威主義のための「独裁者法」と呼ばれていました。

タイのヒューマン・ライツ・ウォッチの上級研究員であるスナイ・ファスク氏は、「緊急命令の下では、プラユスの行動に対する監督も監視も行われず、閣僚は彼の命令に従わなければならない」と述べた。「タイはますます偽装の軍事政権のように見え始めており、それはプラユスの安定性と継続性に帰着している-法令はあらゆる挑戦から彼を守っている。」

バンコクの学界では、Prayuthの賭けは「医療クーデター」と呼ばれています。』