「もろい中国」を悩む時代へ 予測できぬ行動も

「もろい中国」を悩む時代へ 予測できぬ行動も
本社コメンテーター 秋田浩之
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60199550Q0A610C2TCT000/

『気がかりなのは中国がこうした内憂を深めたとき、対外行動にどう影響が出てくるかだ。考えられるのは、主に3つの反応である。

第1は国内の安定に注力するため、外国との無用な摩擦を減らそうとするシナリオだ。強硬策を控え、他国との融和に努める。

第2は外国に柔軟に接しようとせず、強硬な行動に出てしまう展開である。

第3はその中間だ。相手国によって融和に出ることもあれば、逆のこともある。』
『世界にとって最良なのが第1であることは言うまでもない。残念ながら、コロナ発生後に目に付くのは第2の行動だ。中国は尖閣諸島沖に監視船を送り続け、5月8日には日本の領海で日本漁船を追いかけた。昨年5月に続き、2回目だ。南シナ海の支配を強めるため行政区を設けたほか、4月には台湾海峡で空母が演習している。

そして5月28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を決め、世界から非難を浴びている。』
『1989年、天安門事件で世界的に孤立したときにはそうだった。米欧との関係改善は当分望めないとみて、日本に接近。日中改善を足掛かりに、米欧との雪解けにつなげた。日本からみれば「うまく中国に利用された格好だ」(当時の政府幹部)。

当時はカリスマ指導者の鄧小平氏がいて、したたかに外交を操った。だが、習氏にはそうした度量と余裕はうかがえない。』
『人間がそうであるように、内部に不安が高まると、国も冷静な判断を欠きがちだ。相手国に強気に当たったり、予測できない言動に走ったりしかねない。

そんな危険を予測するように、数年前、ロシア高官は日本側にこうささやいたという。「ソ連は末期に法の統制がきかなくなり、崩壊した。中国もそんな状態にあるのに共産党体制が倒れず、続いている。だから余計に危ない」』
『いまの共産党政権がそこまでの状況に陥っているかどうかはともかく、第2の強硬パターンを突き進んでいるようにみえる。

これまで世界は強大になり、過剰な自信にあふれた中国にどう向き合い、対処するかで苦心してきた。だが、これからは強大であり、大きな野心を抱き続ける一方で、内憂も深刻になる中国への対応に悩む時代になるだろう。こちらの方がずっと難しい。』

コロナ失業救う露店で混乱 透ける「習・李」権力闘争
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60137510Z00C20A6I10000/?n_cid=SPTMG002