韓国、ホワイト外しの背景を考える(その5)

※ トランプ政権の半導体製造装置の禁輸(兵糧攻め)のお陰で、中国側の旗色は悪いようだ…。

※ 次は、こう言う動きに対して、中国側がどういう対応を取った(取ろうとした)のか、という話しだ。

中国、ハイテク摩擦に備え 半導体の内製化を加速 英アーム合弁などで技術取り込む(2018/5/2) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3009488002052018FF8000/

※ 『今年4月末までに、現地顧客が同社の技術を使えるようにするライセンス供与などの主要業務がアームから中国合弁に移管されていたことが分かった。「中国企業への支援を抑制しようとする米国などの圧力を受けずに、中国側が技術を吸収できる」。中国の半導体業界関係者は、アームの現地化が進む背景に米国の出方への警戒感があると見ている。』 しかし、こういう動きは、「アメリカ由来の技術が25%以上ある場合は、輸入制限する(高関税をかける)」と言うことで、抜け穴を塞がれたはずだ…。

米国による中国への経済制裁が、逆に中国の半導体「国産化」を加速する  https://biz-journal.jp/2019/01/post_26407.html

※ 中国側としては、半導体製造装置の禁輸を喰らった以上、その製造装置の内製化を急ぐ他に、手立ては無い…。

※ しかし、その道のりは、なかなか厳しいようだ…。

『中国の製造装置はどの程度の水準なのだろうか。以下に装置ごとの要点を記す。
・露光装置
 中国のShanghai Micro Electronics Equipment(SMEE)という露光装置メーカーのHPには、i線の露光装置「モデルSSB600/10」、KrF露光装置「SSC600/10」、ArF露光装置「SSA600/20」が、「Products」内にある「IC Area」のページに掲載されている。これらはすでに、SMICなどで使われていると推測される。
 そして、噂ではSMEEは、ArF液浸露光装置を全力で開発している模様である。有識者によれば、「レンズなどの光学系がもっとも大きな課題であり、早ければ3年後、遅くとも5年後には、できてしまうかもしれない」という。
・エッチャー、CVD、PVD、熱処理装置、洗浄装置
 中国のNAURAという装置メーカーのHPにある「Semiconductor」のページには、「等离子刻蚀设备 Etcher」「物理气相沉积设备 PVD」「化学气相沉积设备 CVD」「氧化扩散设备 Oxide/Diff」「清洗设备 Cleaning Tool」「紫外固化设备 UV Cure」等の装置が掲載されている。各装置の説明が中国語であるため、詳細はわからないが、相当多くの装置が中国にはすでにあると思って間違いないようだ。
・ドライエッチング装置
 上海に本社を置くAdvanced Micro-Fabrication Equipment(AMEC)という製造装置メーカーのHPには、ドライエッチング装置「Primo AD-RIE」が22nm以下の微細加工に対応できると掲載されている。もし事実なら、現在の世界の最先端が10~7nmであることを考えると、かなり最先端に近い実力を有していることになる。
・PVD装置
 有識者の見解では、スパッタリング装置のキー技術は、超高真空を維持することと、ゴミの発生を抑制することに尽きるという。スパッタリング装置の原理は簡単だが、上記2つのキー技術を満足させた装置は、そう簡単にはできないかもしれない。
しかし、これらの技術に精通した技術者が5~6人いて、数年あれば、量産に適用できる装置ができてしまうかもしれないという。アプライドには、中国人が多いが、彼らが装置技術を体得した上で、中国に戻ってAMATの装置をデッドコピーする可能性がある。
・CVD装置
 有識者の意見では、比較的厚い膜を堆積するCVD装置なら、開発するのはそんなに難しくないという。しかし、原子を一層ずつ成膜するAtomic Layer Deposition(ALD)装置の開発は難しい。ALDの概念自体は、50年以上前の発明であり、特許の問題はない。しかし、原子層レベルでの薄膜の成膜には、ガスの供給、温度コントロール、排気などデリケートな制御が必要になる。したがって、キーパーソンが数人いたら3~5年でできるかというと、かなり難しいのではないかと思われる。
・CMP装置
 CMP装置のキーとなる要素は、研磨パッドとスラリーの2つであるという。この2つが入手できれば、または開発できれば、CMP装置の量産適用は難しくない。逆に言えば、研磨パッドとスラリーがなんとかならない限り、CMP装置を開発することはできない。
 特に難しいのはスラリーだろう。Cabot、フジミ、日立化成など、大手のスラリーメーカーは、その成分を一切公開しない。また、上記スラリーを入手して、成分を分析して、模倣しようとしても、うまくいかない。したがって、中国にとっては、CMP装置の量産適用にはスラリーの開発がボトルネックとなると考えられる。
 ところが、上海にあるAnji Microelectronic(以下Anji)が、日米のスラリー大手の技術者をヘッドハントし、スラリーを開発しているという。そして、Anjiのスラリーは、TSMCでも採用されていると聞く。ということは、すでに中国では、国産のCMP装置やスラリーで、最先端のCMPが実現できている可能性がある。
・検査装置
 元KLA-Tencorの技術者によれば、パーティクル検査装置については、すでに中国でデッドコピーされ、中国製の装置が出回っているという。しかし、パターン欠陥検査装置やマスク検査装置は開発することは容易でなく、当分無理ではないかという。というのは、これら検査装置のレーザーやセンサーなどの重要部品については、KLA-Tencorとパーツメーカーがガチガチの契約を締結しており、他社、特に中国メーカーがその重要部品を入手することは不可能だからだ。
 したがって、予想では向こう5年以上は、最先端のパターン欠陥検査装置やマスク検査装置を、中国が開発するのは無理だと考えられる。
・洗浄装置
 あるメモリメーカーの洗浄の専門家に聞いてみたところ、現在基本となっているRCA洗浄は、1965年に開発された。各半導体メーカーは、このRCA洗浄液を少しずつ改良・改善して使ってきたが、基本となる薬液は確立されている。それゆえ、バッチ式洗浄装置は簡単につくることができるし、すでに中国製の装置があるという。
 一方、枚葉式洗浄装置も、単に洗浄するだけなら、すでに中国製の装置があるという。中国製の枚葉式洗浄装置が、SCREENやTELに追いつくことができないのは、1枚のウエハをいかに少ない薬液で洗浄するかという問題と、1時間当たりの処理効率(スループット)においてである。
 しかし、スループット等を度外視し、単に洗浄して歩留りを出すだけでいいのなら、現在の中国製の装置で十分かもしれない。中国製のNANDフラッシュやDRAMでは、原価が売価を上回った場合、その赤字を中国政府が補填することになっていると聞く。すると、スループットに劣る中国製の洗浄装置を使っても、チップさえできればなんの問題もないということになる。』

※ 結局のところ、「歩留まり」を無視すれば、中国内部で使用する分には、ほぼ使える水準までは、到達している…。しかし、現在流通している製品と互して、品質的に肩を並べ、利益を上げていく、という水準までには、達していない…。現状では、国外で「外販」することはあきらめ、「国内販売」にとどまる他は無いだろう…、という評価のようだ…。