中国がAIや無人機で、覇権を握る可能性はあるのか…。

結論から言えば、「無いことでは、無い。」

まず、中国側の論者の主張するところを、見てみよう。

【AI開発でなぜ中国が短期間の間に米国の水準に追いつき追い越せたか。その理由は何か。-中国側の論者】

一、中国のAI研究者の数は驚異的なスピードで増えていること。

二、中国は大量のAIデータを生み出していること。データが増えれば、より優れた製品と高度のAIが得られる。 中国人のモバイル決済は米国人の50倍、商品の注文数は米国の10倍。これがAIモデル開発のための重要な参考データになっている。

三、中国は米国のコピー時代を終え、新しい特性を開発し始めたこと。微博、淘宝はツィッターやイーベイよりも機能性の高い製品とサービスを生み出している。

四、中国人はデータのプライバシーを気にせず、道徳上の問題に対する認識が薄い。企業は危険を顧みず、実行することでビジョン実現に専念していること。

五、中国政府は「トライ・アンド・エラー」を認めており、AI企業に巨額の資金援助をしていること。企業は資金調達にかかる時間を短縮でき、より速やかに開発に専念できる。

六、中国は国全体が大胆な冒険精神を持っていること。消費者も企業も政府も中国経済がデジタルへの変換で輝かしい未来を拓けると確信していること。』  http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55053

 日本側の論者でも、警鐘を鳴らす論稿は、出ている。次は、宮崎正弘氏の書評だ。本の宣伝と受け取られるとイヤなんで、あえて書名は伏せておく。興味のある人は、リンクで飛んで、自分で確認してくれ。

『半導体もAIも半熟過程の中国が、しかし最先端の米国と伍すことが可能なのは、AIが経験工学ではないからだ。
 兵藤氏は独自の情報網から、そう予測されるのだ。
固定電話時代からいきなり携帯時代に突入した中国は、消費においても、現金からカード時代をこえて、いきなりスマホ決済時代に突入したように、設計図とソフトを米国から盗み出して、見よう見まねの自給体制を確立し、ファーウェイが世界の奥地で使われているように、世界を席巻できる。
 悪夢が現実、まだ中国に夢を描いて出て行ったAIならびIT産業は、いずれ米国が仕掛ける新ココムによって制裁の対象にさえなる。』  http://melma.com/backnumber_45206_6770403/

要は、中国ではプライバシーなんかに考慮を要せず、好きなだけ個人の情報を収集でき、「ビッグデータ」を揃えられる、ってことだ。
 ジジイあれこれの投稿でも上げておいた( https://http476386114.com/2018/12/07/%e3%82%a2%e3%83%a1%e3%83%aa%e3%82%ab%e3%81%af%e3%80%81%e3%83%95%e3%82%a1%e3%83%bc%e3%82%a6%e3%82%a7%e3%82%a4%e3%82%92%e6%bd%b0%e3%81%99%e3%81%a4%e3%82%82%e3%82%8a%e3%81%aa%e3%81%ae%e3%81%8b/ )が、現AIは、単なる「行列データ」の変形・演算に過ぎない。結局、どれだけ多量の質の高い「行列データ」を揃えられるか、の勝負になっているんだよ。この点で、中国には、優位性がある。

 次に、無人機による攻撃の現状を、見てみる。

 まず、米軍の無人機攻撃からだ。

悪名も高い米軍のMQ-9だ。「リーパ-(死神)」とか言う、ニックネームがついている…。
こっちは、MQ-1(プレデター 捕食者)だ。ミサイルが、見えてるな…。

こういうもので、次々と中東やアフガンでテロリスト(と、アメリカが称する勢力)を、攻撃して来たわけだ…。

そして、その操縦の様子は、次のような感じのものだ…。

空調の効いた部屋で、画面を見ながら操縦・攻撃し、任務が終われば、サッパリとシャワーを浴びて、日常生活を送る…、というわけだ。無人機には、カメラが積んであり、衛星回線を通じて画像は、遠く離れたアメリカの無人機用の空軍基地まで送信され、その画像を見ながらこちらのコントローラーからの操縦命令も、衛星回線を通じて無人機側に送られる、というわけだ。仕組みとしては、プレステでオンラインゲームをやるのと、殆んど変わらない…。

むろん、問題が無いわけでは、無い。人間が目視で攻撃目標を捕捉するのと異なり、あくまで積んでるカメラからの映像で判断する…。それを衛星回線でやり取りするわけだから、遅延・送受信不良の問題はつきまとう…。誤爆で、民間人が巻き込まれる事例が多く生じて、厳しい批判にさらされた…。オバマ政権も、末期には、中東やアフガンでの無人機攻撃に対する中止命令を、出さざるを得なかった…。

ただし、無人機の開発自体を中止したわけではない。現在も、着々と開発中だ…。まだ、実戦配備はされていないようだが、開発中のものを紹介しておく…。

こっちは、X-47Bだ。

次に、中国の無人機開発の現状を見る。

軍事パレードに登場したものだ。胡錦濤さんのようだな…。ミサイルのようにも見えるが、「中国 無人機 パレード」でヒットした画像なんで、無人機なんだろう…。その数に、驚くな…。
なんか一見すると、茶色い地面にラジコン模型機をならべたようにしか見えないが、どうしてどうして、同時に自律の編隊飛行の世界記録を打ち立てた(米軍の記録を、超えた)という記念すべき画像なんだよ。

中国・軍事用ドローン119機「集団飛行」に成功…米軍の記録を抜く
https://roboteer-tokyo.com/archives/9159

虹彩-5、と呼ばれているものだ。まあ、MQ-1のソックリさんだな…。
翼竜と呼ばれているものだ。ミサイルの登載が可能のようだな…。
利剣と呼ばれているものだ。X-47のソックリさんだな…。
BZK005と称されている偵察機だ。先般、尖閣付近に飛んできて、防空識別圏に侵入したんで空自がスクランブルをかけた…、という事案があったろう。それが、これだったと言われている。

こういう風に、画像を見る限り、中国は着々と無人機開発のピッチを上げているように見受けられる…。それが何故可能なのかという考察だが、中国側の論者が言うようにAI開発における優位性、だけではないようだ…。

と言うのは、上記画像からも見て取れるように、米軍機のソックリさんがあまりに多い…。どうやってその設計図を手に入れているのか…。

むろん、米軍はあちこちの戦線に無人機を投入しているから、敵側に鹵獲されてしまう、という事案も生じる…。

『(※ 2009年)九月十三日、米軍がアフガニスタンで使用している無人攻撃機の一機が制御不能に陥り、カザフスタンや中国方面に向かう事故が発生。米軍はすぐさま、有人戦闘機を発進させ、無人機を追尾し、ミサイルで撃墜して事なきを得た。 米軍は昨年、中国やアフガン国境地域を偵察中にプレデター機を墜落事故で失っている。この墜落地点が中国国境から二十キロ程度だったことから、米軍内では「中国に機体を持ち去られた可能性もある」と懸念されていた。 実際、米誌ディフェンス・ニュースでは今年八月、中国軍がすでに米機をコピーして無人機開発に乗り出していると伝えている。同誌によれば、昨年十一月、広東省珠海で開催された航空ショーで明らかに米軍機を模倣したと見られるデザインの無人機モデルが展示されたという。これらを受け、米軍は今回、撃墜という強硬措置を取ったとみられる。』
https://www.fsight.jp/5232 

この例では、有人機で撃墜して事なきを得たようだが、最近でもイラン側に無傷で鹵獲され、すぐさま中国が調査団を送った、という記事を読んだぞ。イランと中国は、反米という点で利害が一致してるんだよね。

それだけでなく、アメリカは中国がハッキングや例のスパイチップなんかで、軍事機密情報を盗んでいる…、と疑っている。ファーウェイ潰しも、こういうAI・無人機絡みで捉える必要があるだろうな…。

中国は、無人機を開発・実戦配備しているだけではない。中東やアフリカの独裁的な国々に、無人機を売り込んでいるんだよ。兵器ビジネスで稼いでもいるんだ。

【中国、各国へ無人機の売り込み】
中国がサウジで無人攻撃機の製造修理へ
https://holyland.blog.so-net.ne.jp/2017-03-29

イエメンで中国製無人機が反政府指導者を爆殺―専門家「商機到来」
https://news.goo.ne.jp/article/recordchina/world/recordchina-RC_651222.html

中国無人機の脅威(※ 5年前の記事)
https://plaza.rakuten.co.jp/foret/diary/201307040000/

中国製無人機「翼龍」 アラブ、ウズベキスタンに輸出(※ 6年前の記事)
https://www.excite.co.jp/news/article/Searchina_20121116047/

しかしまあ、日本が平和ボケしている間に、世界は遙か彼方の遠い方に、行ってしまったんだなあ、というのがジジイの感想だ…。