債務名義の話し(その3) ー そして、連帯保証の怖さ

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「強制執行認諾文言(執行受諾文言)付き公正証書」とか、聞いたこと無い
かも、だな。
「公正証書」くらいは、あるいは聞いたことあるかもだな。
世の中には、一定の事実や法律関係について、公に「確かに、そうなって
いる」と認証して欲しいという需要が存在している。
訴訟のように、当事者が徹底的に主張・立証を尽くして、その結果が「判決」
という裁判所の判断となった、という程度に至らなくても、ある程度の確実性で
公権力を背景に一定の判断が示されていれば、当面はそれに従っていれば、まあ
それほど間違いは生じないからだ(何か問題が生じれば、「訴訟」で決着すれば
足りる)。
そこで、「公証人」制度と言うものを設定し、運用している。
「公証人(こうしょうにん)とは、ある事実の存在、もしくは契約等の法律行為
の適法性等について、公権力を根拠に証明・認証する者のことである。
日本においては公証人法に基づき、法務大臣が任命する公務員で、全国各地の
公証役場で公正証書の作成、定款や私署証書(私文書)の認証、事実実験、確定
日付の付与などを行う。2000年9月1日現在、日本全国で公証人は543名、公証
役場数は299箇所ある。」と言ったものだ。
どんな人が職に就いているのかというと、
「公証人法の原則からすると、公証人には、公証人試験に合格した後、公証人
見習いとして6ヶ月間実施修習を経た者から、法務大臣が任命することになって
いる(公証人法12条)。
しかし、公証人法に定める試験は実施されたことがない
(「公証人規則」時代は試験記録が残されている)。公証人法には他の資格試験
のように「1年に何回以上試験を行わなければならない」という規定がないため、
下記の法曹・学識経験者から任命されることが、慣習として定着している。
公証人は、司法試験合格後司法修習生を経て、30年以上の実務経験を有する
裁判官(簡易裁判所判事は除く)、検察官(副検事は除く)、弁護士、および
法務局長経験者から任命される。これらの者の場合は、試験と実地修習は免除
される。
高等裁判所、地方裁判所および家庭裁判所の裁判官の定年は65歳だが(裁判所法
第50条)、公証人は70歳まで勤務することができるため裁判官、検察官、および
法務省を退職した後に就くことが多い。1989年度は、全国530人の公証人のうち、
判事経験者150人、検事経験者240人、法務局長など法務省職員OBが140人を占め、
弁護士出身者は1人しかいない。」と言った感じだ。
まあ、一定の法務省の覚えがめでたいヤメ判やヤメ検やヤメ法務省職員の中
から、退官後に任命して、一定の報酬を保証して退官後の生活の面倒をみる、と
言った感じか。
待遇に関しては、「公証人は公務員だが、指定された地域に自分で役場(公証
人役場)を開き、書記らを雇って職務を遂行する。国家から俸給を得るのでは
なく、依頼人から受け取る手数料が収入源の独立採算制である。手数料は公証人
手数料令(平成5年政令第224号)で定められている。当然、扱い件数の多い東京
や大阪などの大都市では、年収3,000万円を超える公証人も多数存在する。」と
言った感じで、大都市の公証人になると手数料収入で結構オイシイものらしいな。
※※では、※※近くの※※地方法務局の建物の向かいに司法書士が何人か
事務所をかまえているビルがあって(ビルの名前までは、知らない)、そこに
「公証人役場」という看板が出てる。だから、そこに「公証人」が居るん
だろう。
こういう公証人が公証役場で作成したものが、「公正証書」だ。公証人は、
公務員の一種なんで、文書の性質は「公文書」となる。
金銭消費貸借契約書を公正証書として作成しておくと、その内容は公証人が
認証したものとなるので、証拠力としては強力だ。
さらに、「債務者は、本証書記載の金銭債務を履行しないときは直ちに強制
執行に服する旨陳述した」との一文を加筆したものが、「強制執行認諾文言付き
公正証書」となる。単に、一定の金銭債務を負っている旨だけでなく、支払わ
ない場合は強制執行されても異存は無い旨が認証されているので、さらに強力な
ものとなる。
こういう文書が執行機関に提出されると、執行機関としては、債権・債務の
存否の争いに関わること無く執行しても問題ないはずなんで、直ちに執行する
ことにしてある。
世の中には、こういうものも存在している。よく問題になったのは、連帯保証
人と執行認諾文言付き公正証書のコンボだ。
まず、「保証人」について少し説明する。
「保証人について、民法446条では「保証人は、主たる債務者がその債務を履行
しないときに、その履行をする責任を負う」と定めている。簡単にいうと、保証人
は債務者が借金を返さない場合のみ、借金を肩代わりする義務を負うわけだ。
この場合、取り立ての順番は、債務者が先、保証人が後だ。
この順序がおかしくならないように、保証人には2つの権利が認められている。
まず「催告の抗弁権」(民法452条)。これは保証人が借金の肩代わりを求められ
たとき、債権者に対して「借金した本人が破産したり行方不明になっていない
ので、保証人より先に本人から取るべき」と抗弁できる権利をいう。もう一つは、
「検索の抗弁権」(民法453条)。これは「借金した本人に財産や収入があること
を証明するので、まず本人から取るべき」と抗弁できる権利だ。
その他、保証人には「分別の利益」(民法456条)も認められている。これは
保証人が複数いる場合、保証人は債務額を人数で割った金額までしか保証しなく
てもいいという決まりだ。」
どれも、まあ常識的な話しで、普通の人でも分かる話しだ。
ところが、「連帯保証人」となると、話しが違ってくるんで、要注意だ。
「連帯保証になると、あたりまえのことが通用しなくなる。連帯保証人には、
催告の抗弁権や検索の抗弁権がない(民法454条)。つまり借金した本人に支払い
能力があっても、債権者は連帯保証人に返済を迫ることができる。また過去の判例
では、複数の保証人がいても、債権者は一番取りやすそうな一人に借金をすべて
肩代わりさせることもできる。
こうなると、連帯保証人が背負う責任は、借金した本人とほとんど変わらない。
メリットはないのにリスクだけは目一杯背負う。それが連帯保証の怖さだ。」と
いうことになる。
まとめて言い換えると、本来の保証人から、催告の抗弁権・検索の抗弁権・
分別の利益を排除したものが「連帯保証人」だ、ということになる。
なんでそんなものを法が認めているのかというと、物的な担保(土地や建物、
価値のある動産なんか)を準備できない人でも、財産を有している人を探し出し
て融資を受けることを可能にするため、という目的だ。前にも言ったように、
財産法関係は私的自治の原則が適用されるから、その人が了解しているならば、
法はあまり介入しないという建て前で運用されているんだよ。
だから、連帯保証契約を公正証書で作成し、そこに強制執行認諾文言を入れ
られると、本来のお金を借りた人(主債務者)に財産があろうと、直ちに自分の
財産に強制執行されても文句は言えない、ということになる。
「そういうことは、知りませんでした…」と言ったところで、「勉強不足で
したね」で終了だ…(前にも、同じようなことを言ったことあったよな)。
だから、「連帯保証人」には、即時に自分の全財産に強制執行を掛けられても
異存は無い、という場合しかなってはいけない。そういう覚悟があって初めて
なるものだ。その結果、全ての財産を失ってスッテンテンになることもある
かも…だ。