『家賃収入10億のハズが破産へ。会社員を狙うシェアハウス投資の手口』(その3)

 結論から言えば法律(民法)違反では無い。訴えを起こして争っても、負けるだろう。
 それは、このAさんとS社との間の契約が「サブリース契約」だからだ。
 オレも名前ぐらいは聞いたことがあったが、詳しくは知らんかった。
 「サブリース」とは、日本語で言えば、「転貸借」平たく言えば「又貸し」だ。
 要するに、シェアハウスの所有者であるAさんからS社が「賃貸借(英語では、
サブリース契約において「マスター・リース」と言うらしい)」して(S社が借
賃を支払うことを約束して、借り上げて)、シェアハウスを借りたいと申し込ん
で来た人に「又貸し(転貸借)(サブリース)」するっていう話しだ。
 借りてる物を又貸ししても、それが貸した人(所有者)の許しを得ていれば問
題はない。別に、対象がシェアハウスでなくても、自動車とか建機とか、農機具
とか(こういう物は、「動産」という)でも普通に行われている契約だ。
 但し、対象がシェアハウスみたいな居住用の建物や土地(こういう物は、「不
動産」という)だと、事情がちょっと違ってくる。
 というのは、「借地借家法(しゃくちしゃっかほう)」という民法の特別法が
優先適用されるからだ。
 物を借りてるというのは、立場的にちょっと弱い。というのは、あくまでも
「貸してあげる」という持ち主との約束に基づく立場だからだ。
 もし、持ち主がその物を別の人に売った場合(売るのは、持ち主の自由だ。そ
れを止める権利は、借主にはない)、買った人が前の持ち主と同じように「貸し
て」くれるかどうかの保証は、ない(貸すか、貸さないか、又は借賃をもっと多
く払ってくれる人に貸すかは、新しく持ち主になった人の自由だ。それに、干渉
する権利は、借主にはない。また、前の持ち主との約束も、あくまでそれを主張
できるのは、前の持ち主との間のことで、新しい持ち主になった人との間で主張
できるものではない。新しい持ち主になった人は、前の持ち主との間の約束に拘
束されるいわれはない。別に自分が約束した訳ではないからだ)。
 このことを、法律的には、「売買は賃貸借を破る」とか「物権は、債権に優先
する」とか言うんだが、まあいいよ。
 貸し借りの対象が、そう大した物じゃなければ、問題は少ない。
 ただ「賃貸借」って、借賃を支払って物を借りるっていう契約なんで、対象は
結構財産的な価値の高いものになる(ちなみに、タダで(無償で)物を借りる契
約は、「使用貸借」と言って、別の契約だ。また、別の取扱いとなる。「使用貸
借」は、タダで貸してあげる場合なんで、貸す人と借りる人の間になんか特別な
関係がないと、なかなか成立しない。オレの場合も、こうやってこの住居に居住
してるが、法律的には、親父の持ち家を親父の好意により「使用貸借」してる
立場なわけだ。親父、ありがとねー!)
 それで、こういうちょっと弱い立場にある賃借人を守らなきゃな、という社会
的な要請を受けて、「借地借家法」と言う特別法を制定して、対策した訳だよ。
 次は、どんな特別な対策を設けているのかについて見ていく。
 ※(その4)に続く。