『人民元建て原油先物取引の開始、の意味するところ』

前回まで長々と説明してきた話しの文脈に、このニュースを置いて見ればだ、
どれだけ危険でヤバイことか理解できると思う(イラクのフセイン、リビアのカ
ダフィの末路なんかが想起されるよな)。
日本の新聞メディア全部が(日経を除いて)ダンマリなのも、無理はない。怯
えているってことだろう。「触らぬ神に祟りなし」だ。

「完全に虎の尾を踏んだ感じだなー。」ってのが感想だ。
「中国は、(覇権交代の)準備ができているのか? 」とも思う。
「対米の交渉担当者・当局者なんかが聞いていた、あるいは得ていた感触とかの、
情報のどこかに間違いがあったんじゃないのか? 」とも思う。
あるいは、「アメリカ(及び、それに味方する国際金融業者(そいつらも、決し
て一枚岩ではない。それぞれの思惑で動いている)に、嵌められたのかなあ。」
とも思う。

トランプの関税発動に至るまでの流れを、オレのPCに保存しといたファイル
から紹介しとく。但し、日付は保存の時にタイムスタンプされたものだから、実
際の出来事の日付と完全には一致しない。それでも、充分に参考になる。

・【米輸入制限】トランプ氏「真の友人には柔軟性」 ツイッターで表明(3月
9日) ※ 「真の友人」ってのが、いかにも意味深だよな。
・【米輸入制限】適用除外、発動までに判断 ムニューシン財務長官(3月10
日)
・【米輸入制限】鉄鋼・アルミ関税でトランプ氏、豪州を免除表明 政権高官
「ほかにいくつか除外国」(3月11日)

そして、ドカン!!!だ。
・アジア株が全面安 米中貿易摩擦懸念で(3月25日)

この3月25日という日付を、偶然だと思うか?
3月26日が取引開始日だぞ。

中国もすぐに動いた。
『【ワシントン=塩原永久】米紙ウォールストリート・ジャーナルは26日、米
政権が決めた中国製品の輸入制限で、米中の政府高官が水面下で交渉に入ったと
報じた。ナバロ通商製造政策局長は同日のテレビ番組で、ムニューシン財務長官
らが対中交渉を続けていると認め、「中国が(不公正な)取引慣行に対処すると
期待している」と述べた。
同紙は関係者の話として、ムニューシン氏と通商代表部(USTR)のライト
ハイザー代表が先週、中国の劉鶴副首相に書簡を送ったと伝えた。ムニューシン
氏が訪中することも検討しているという。
トランプ米政権は中国側に対し、米国から中国市場に輸出される自動車の関税
引き下げや、米国製の半導体の購入拡大、金融市場の開放などの要求を伝えた。
ナバロ氏は26日、米CNBCテレビのインタビューで、ムニューシン氏とラ
イトハイザー氏が「大統領の指示」のもとで対中交渉に携わっていると話した。
トランプ米政権は23日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を発動。22日には
中国の知的財産侵害に対する制裁として、中国からの輸入品に25%の追加関税
を課す措置を発表していた。』( http://news.livedoor.com/article/detail/14489931/
 ) ※ 「劉鶴副首相」という人は、日本じゃあまり知られてないが、ハーバー
ド大学に留学経験がある経済のスペシャリストで、習近平の経済関係のメンター
(懐刀)と見られている人だ。今般の全人代で、副首相に就いた。経済関係全般
の企画・運営を行っていくだろうと考えられている(残念ながら、李克強は、手
足をもがれて、実質的な力を全部失くした感じだ)。

表面上は関税の話しで物の輸入制限ということで報じられているが、本丸はペ
トロ ・ダラーによるアメリカの金融覇権に関わる問題だ。妥協点は、なかなか難
しかろうよ。
いずれ、中露はハッキリとアメリカの覇権を削っていく方向に舵をきったとい
うことになる。しかも、覇権の根幹である「ペトロ ・ダラー」サイクルを弱めて
いく方向に動く(前々から、動いていたようだ)、って話しだ。
ネット上も、様々な分析記事が上がっている。
『元建て原油の爆買いが崩すドル基軸制』
http://www2.analystkobo.com/fx/cntmntptrusd

『人民元建ての原油先物取引が米国の支配システムを支える柱のひとつペトロダ
ラーを揺るがす可能性 _ 《櫻井ジャーナル》』
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201803270000/

『原油市場、中国の「元建て決済」拡大構想は頓挫か』
http://jp.wsj.com/articles/SB12575784894043093953704583600941305550804

上2本は、中国市場がそれなりに成功して、多軸通貨という流れになるという予
想(あるいは、中露からのカネによる情報操作)だ。
下1本は、まあWSJなんで(去年の12月27日の記事だ)、タイトルだけか
らして「頓挫して欲しい」「頓挫させるぞ」という気持ちがにじみ出ている記事
(同じく、アメリカ側からのカネによる情報操作)だ。有料記事なんで、タイト
ルだけしか紹介できん。もっとも、「中国は、何年も準備して…」と書いてある
ようなんで、それなりに対米交渉も重ねたんだろう。絶対、「止めといた方が良
いのでは…。」と言われたはずだから、それを押して強行したってことなんだろ
うな。
これからの話しをすれば、各国及び各勢力(各国の金融業者その他の勢力)は、
引き続きアメリカの覇権を肯定する(安定的。その代わり、アメリカの横暴には、
目をつぶる)、アメリカの覇権を否定して多軸通貨体制に移行することを肯定す
る(アメリカの横暴は、抑制される。その代わり、世界経済・世界貿易・世界金
融は不安定で流動的なものとなる。また、アメリカの横暴の代わりに、中露の横
暴が生じる可能性がある)という利害得失を衡量し、また各勢力は自分たちに及
んでくる利益・利権を衡量し、入り乱れて戦い・行動し、自分たちの影響力を行
使していく…、って話しになるんだろう。
しかも、これに民主主義国においては選挙が絡む。非民主主義国においても、
人民の暴動・抗議行動が絡む。諜報活動、工作員による工作、SNSを利用した
大衆扇動、サイバー攻撃なんかも入り乱れる…って話しだ。
まあ、そうやってある程度の落ち着きを見るまでは、ガタガタするって話しだ
よ。いやはやだ…。
※ 北朝鮮の問題なんかも、こういう底流の上で決まっていく。アメリカの覇権
vs中露の挑戦 ということからすれば、ある意味小さい問題だよ。